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この手の調査結果は、一見それらしく見えますが、中には統計を誤用(悪用?)したトリック、というケースも少なくありません。これとよく似た「ニセ理論」は「ニセ科学」や「インチキ商品」の効果の説明にもよく登場しますので、この理論のどこに問題があるかを見抜く知恵を身につけておくことは、そういったインチキに騙されずにこの先の人生を過ごせるための大切な「財産」となってくれるかもしれません。
例えば、農林水産省のWEBサイトには「めざましごはん」というページがあります。
http:www.maff.go.jp/j/seisan/kakou/mezamasi/about/databox.html
ここでは全国の小中学生を対象に行った
・朝食の摂取と学力調査の平均正解率との関係
・朝食の摂取と体力合計点との関係
・「朝食を食べる頻度」と「イライラする」の関係
・「朝食を食べる頻度」と「何もやる気が起こらない」の関係
・朝食の摂取状況と肥満傾向児・痩身傾向児の出現率
の調査結果の統計データから
「朝ごはんを食べる習慣がある人とない人では、勉強、仕事、スポーツ、さらにメンタル面でも大きな差が出ます」
という傾向を示し、それを根拠として
「あなたもめざましごはん(*)で1日を最高な形でスタートさせましょう」
(*:Bright-Door注。朝食を規則正しく摂取する習慣のこと)
という行動提唱に結びつけています。一見すると、調査事実に基づいた納得のゆく理論のように見えますね。しかし、実はここには「因果関係」と「相関関係」を混同する、という統計分析の誤りが含まれているのです。
このデータが
「朝ごはんを食べる習慣がある人とない人では、勉強、仕事、スポーツ、さらにメンタル面でも大きな差が出ます」
という《相関関係》を示しているのは事実ですが、
「朝ごはんを規則正しく摂取するということが、勉強、仕事、スポーツ、メンタル面の向上につながる」
という《因果関係》は一切示していない、という違いを見抜くことが大切です。
その違いは《事象》を左右する《変動要因》は何か?と掘り下げて考えれば見抜くことができます。
このケースの場合、まず「家庭環境における、子供の健康、しつけ、教育への関心の高さ〜低さ」という変動要因があって、その変動要因の下に
・朝食を規則正しく提供するか、しないか
・学力
・体力
・メンタル傾向
・肥満や痩身の出現
といった事象が横並びでぶら下がっているのではないだろうか、と考えるのが自然です。したがって、ぶら下がった事象のひとつに過ぎない「朝食の規則正しい提供」だけを変えてみたところで、他の事象に影響が出る、という根拠はどこにもありません。
朝食が《変動要因》となって他の事象に影響を与えるかどうかを調べるには、その他の条件を全て揃えて、朝食の有無のみが唯一の変動要因、という環境を用意する必要がありますが、生身の小中学生を使ったそのような実証実験は不可能です。
***
テーマをこの記事に戻すと、「《消灯後の携帯電話の使用頻度》と《心の健康状態》」の相関関係は示せても、「消灯後の携帯電話の使用頻度を下げることが、心の健康状態の改善につながる」という因果関係を示すには至っていない、ということです。
このテーマにおける《変動要因》として推測されるのは「ケータイ依存の高さ〜低さ」であって、その要因の下に
・消灯後の携帯電話の使用頻度
・睡眠時間(「消灯後の携帯電話の使用頻度」を《変動要因》として、直接影響を受ける《事象》の可能性はある)
・心の健康状態(「睡眠時間」を《変動要因》として、直接影響を受ける《事象》の可能性はある)
といった《事象》が横並びでぶら下がっている可能性を想定するほうが自然なはずです。
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