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> 三浦市三崎町城ケ島の県立城ケ島公園で、数百年前から枯れることなく湧き出ていたとされる源頼朝ゆかりの岩清水「水っ垂れ」が、突然止まった。地元住民や関係者からは驚きと戸惑いの声が上がっており、土地所有者の県は週明けにも調査に乗り出す。地下水に詳しい専門家は東日本大震災の地震で地層がずれた可能性を指摘している。
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> 水っ垂れは島東部にあり、岩清水が滴っていることから名付けられた。新編相模国風土記稿には、鎌倉時代に源頼朝が城ケ島を遊覧した際、この水で茶を沸かしたり、すずりの水に用いたりしたとのいわれが残っている。
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> 「水っ垂れの岩のはざまに垂る水のせうせうとして真昼なりけり」。「この道」や「城ケ島の雨」などの作詞で知られる詩人、北原白秋(1885〜1942)の歌も残されており、馬の背洞門と並ぶ城ケ島の景勝の一つだ。
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> 同公園などによると、水っ垂れ周辺の岩場は人気のハイキングコースだったが、2002年10月の台風21号で渡し橋が崩落。約9年間にわたって通行止めが続いており、現在も立ち入り禁止のままになっている。
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> 先月26日、見回りで訪れた同園職員が水っ垂れの水が止まっているのを確認した。記者も同行していた。3月11日に発生した東日本大震災後の同15日には水は流れていたといい、職員の一人は「頼朝公にお願いするしかない…」と絶句した。
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> 岩清水が途絶えたことを知った城ケ島区長の加藤治彦さん(73)は「今まで聞いたことがない。信じられないし、信じたくない」。地元では、神事に使う「霊水」としても長年使われていたという。
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> 県横須賀土木事務所は新たな散策路を設けるため、先月から測量調査を始めたばかりだった。担当者は「原因が分からないので様子を見るしかない」と困惑気味。週明けにも現地を調査したいとしている。
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> 岩清水が止まった要因は今のところ分かっていないが、同公園では09年から現在にかけて園路のバリアフリー化などが行われており、「土木工事が影響したのでないか」と推測する地元住民も少なくない。
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> だが、県温泉地学研究所(小田原市入生田)の板寺一洋主任研究員(46)は「岩盤の強い地域。小規模な工事では影響は出ないだろう」と指摘。「3月11日の大地震と、その後の余震が地層内にある水の通り道に影響を与えた可能性が高い」と分析している。
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> 地域住民らは復活を諦めていない。水っ垂れ上部にある水脈からは通常よりも水量は少ないものの、ぽたりぽたりと水滴が落ちているからだ。「信じて待つしかない」。加藤さんは言い聞かせるようにつぶやいた。
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